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形態的種の概念

様々な生物を分類するにあたって、外観や解剖学的特徴によって区別することは最も古くから行われてきた。生物の形態によって種を区別することを形態的種の概念と言う。形態的な差を種の同定の基準に用いることは分類が主観的になりすぎる問題がある。特に視覚的な基準を用いるのは人間の視覚が発達しているためでしかない。生物個体のどのような特徴を判断の基準とするかがあいまいである。また性的二型のような多型を別種と誤解する可能性がある。しかし、現在記載されている種のほとんどは形態的種で、特に化石生物は全て形態的種である。なお、このような分類では生殖器の構造、特に交接器の構造が重視される。これは生殖器の物理的な差異が配偶を困難にし、生殖的隔離をもたらす可能性が高いと推定できるためで、生物学的種の同定の基準となりうるからである。

北アメリカでは複数種の同属のホタルがおり、それらは外見上は区別が困難であるが、それぞれの発光パターンが異なる。このパターンによる雌雄のやりとりで交尾が行われるので、種間の生殖隔離は成立している。このような生物は隠蔽種(英:cryptic species)と呼ばれ、形態によって区別することはできないから、他の概念を適用することでその存在が知られる。その場合でも、そこに種の違いが存在することを知った上で研究が行われれば、わずかの形態の違いで区別が可能となる場合もある。

マイヤーによって1942年に提案された、生物学では最も一般に用いられている種の概念。この定義では、同地域に分布する生物集団が自然条件下で交配し、子孫を残すならば、それは同一の種とみなす。しかし、同地域に分布しても、遺伝子の交流がなされず、子孫を残さない(=生殖的隔離が完了している)ならば、異なる種とされる。たとえば、ヒョウとライオンを強制的に交雑することによってレオポンと呼ばれる雑種が生まれるが、レオポンはほとんど繁殖力を持たない。よって、ヒョウとライオンは同一の種ではない。ラバ(ロバとウマ)についても同様である。

それぞれの生物集団が異なる地域に属していたり、違う時代に属している場合、生殖的隔離の検証が出来ないため、その生物の形態の比較、集団レベルでの交配および受精の可能性の検証、雑種の妊性(稔性)の確認を通じて、同一の種であるかが検討される。

ただし雑種が全て生殖能力に劣るわけではない。特に、植物では従来の見解では異種であった個体群を交配させて園芸品種を作ることは頻繁に行われている。このようなときは、この定義を厳密に当てはめた場合種ではなく亜種として分類しなおすことになる。野生下での交配可能性のみを問題にする立場からしても、イヌ属やカモ属、キジ属などの場合は亜種として扱うことになる。
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生物学的種を普遍的なものとして扱いたい場合に最も根本的な問題となるのは交配せず無性生殖のみを行う生物である。この定義を適用すれば全ての個体の系統が異なる種に分類されることになり、現実的ではない。はるか昔に絶滅した種を扱う古生物学にも適用できない。また実際的な問題として、無数の生物の組み合わせ全てで実際に交配が行われるかどうかを確認するのは不可能である。

さらに輪状種の存在は生物学的種に困難をもたらす。輪状種とは近接して生息する個体群AとB、BとCが交配可能であるが、離れて生息する個体群AとCの間に生殖的隔離が存在する亜種の混合個体群のことである。この場合AとCは生物学的に別種であるが、AとB、BとCは定義上、同種である。全ての種は時間的には連続した存在だが、輪状種はそれを空間的に見ていると言うことができる。

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2009年06月22日 07:13に投稿されたエントリーのページです。

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